日商簿記1級と2級はそもそも違う種類の試験である
日商簿記2級と日商簿記1級には一つ、決定的な違いがある。 日商簿記2級は絶対評価の試験であるのに対して、日商簿記1級は相対評価の試験である。 絶対評価の試験とは、例えば自動車運転免許の試験のように、決められた知識を身につけて、合格点数に届けば合格となるような試験である。 それに対して相対評価の試験とは、例えば大学入試のように、他の受験者との点数競争を行い、上位の者が合格するような試験である。 簿記2級においては、きちんと出題範囲である簿記の知識を身につけて70点を取れれば合格するが、簿記1級では、受験者の上位約10%に入らなければ合格できない。 表向きには簿記1級も70点が合格ラインとされているが、傾斜配点という操作を行って合格者数が一定の割合になるように調整されている。なお、このような操作があることは公式には公言されていないが、周知の事実となっている。 こういった違いがあるということを踏まえた上で、簿記を、一定のレベルの会計知識を習得しているということの証明にするという目的で取るならば、相対評価である1級は果たしてその目的に適切であるか疑問である。 というのも、1級は相対評価である以上、その時に受けた受験者層のレベルで合格ラインは変動する。 もちろん、簿記1級は非常に高度な会計知識を必要とする資格であるが、相対評価であるがために、絶対評価である2級とは異なり、その資格が保証するところの知識範囲、つまりレベルが変動する。また、きちんと1級範囲の知識を身につけても合格できないということも大いにあり得る。 こういったわけで、私自身については、あまり簿記1級の合格に躍起になるべき理由がないように思われる。