しかし先日、その店先にて興味をそそる看板を目にした。京都大学と早稲田大学の研究所が共同開発した古代エジプトビールとある。ドイツに1年間洋行し、彼の地で本場のビールを味わったからと云って、大して詳しくもないのにビールレビューなぞもやっている自称ビールマニアたる私は、勿論そのビールを試さないわけにはいかなかった。
とある平日の夜、恐る恐るガラス張りのドアを開けてUni.Cafe125のカウンターに向かった。すると、メニューにはホワイトとルビーの二種類の古代エジプトビールがある。まるでポケモンのようだ。ちなみに私が一番好きなポケモンはコイキングである。ポケモンというのはなかなか酷い話だ。出会っていきなり半殺しにされてボールに閉じ込められる。そしてやっと出られたかと思うと、「目の前のポケモンを殺せ」と、理不尽な要求をされる。そんな脅しに屈せずにひたすら「はねる」の手段にて対抗するコイキングの反骨精神がかっこいい。
さて、ルビーとホワイト、両者の違いについてはさっぱり分からなかったが、ルビーは売り切れとのことでホワイト一択、事なきを得た。しかし、出てきたビールは意表を突くものであった。
古代エジプトビールなどと云うものだから、私はてっきり、土器の入れ物に常温で出てくるのだろうと思っていた。しかし出てきたのはキンキンに冷えた茶色いガラス瓶であった。
あやしくなりはべりぬ、と思った。しかし、そこは現代日本人の嗜好に合わせたのだろうと自分に言い聞かせた。飲んでみなければわからない。
味は、ピルスナービール、つまり所謂普通のビールそのものであった。
これは忌忌しき事態であると思ってネットで調べてみた。すると、京都大学のウェブサイトページにきちんと太字で
【ご注意】ルビーナイルもホワイトナイルも古代エジプトビールを再現、復刻したものではありません。と、書いてあった。
「古代エジプトビール」とは私の見間違いなのだろうか。しかし、上の写真を見れば、古代エジプト風デザインがあしらわれたラベルであることがわかる。私は、騙されたのだろうか。
なんともスッキリしないビールであった。読者同志諸君はくれぐれも注意してほしい。
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