来独から三ヶ月が過ぎようとしている。
この三カ月間、私は未だに英語を喋れない欧州人学生に出会ったことがない。
ルームメイトのドイツ人二人も、また寮に遊びに来る彼らの友人のドイツ人も、大学で出会うドイツ人学生も皆流暢に英語を喋る。
そして、ドイツ語学の授業で出会う、スペイン、チェコ、ポーランド、イタリアなどその他欧州圏から来たドイツ語習得中の留学生たちもやはり英語を喋る。
彼らは母語と英語、それに加えてのドイツ語、というように皆少なくとも第三言語以降の言語としてドイツ語を習っている。なので、留学生同士の会話では英語が用いられる。
さらに、ドイツ語学の授業はドイツ語で教授されるのだが、語意の説明などの際に教員が英語を使ったりする。つまりは、英語はできて当たり前であるという前提なのである。
このように、ヨーロッパにおいて英語は共通語としての確固たる地位を築いている。
ではなぜ英語なのか。
それはもしかしたら、ヨーロッパ言語の中で一番簡単なのが英語であるからなのかもしれない。
名詞に性が無いことや動詞の人称変化もほとんど無いこと、文法が簡単であること、そして他のヨーロッパ言語から様々の外来語を取り入れていることから、ヨーロッパ人にとって一番習得しやすい共通言語は英語であるのかもしれない。だから皆英語をしゃべるのだろう。
興ざめである。
皆英語をそもそも喋れるので、わざわざドイツ語を習うことの旨みが減ったように感ぜられて仕方がない。
これは想定外であった。こんな状況であるならイギリスに行くというのも選択肢に入れておけばよかった。
しかし、習得してみなければ分からぬことも多くあるだろうから、まあ気を永くドイツ語をやるがよかろう。
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